本田圭佑流、継続と習慣化の秘訣
日々の努力を続けることは誰にとっても難しいものです。特にモチベーションが上がらない日には、なかなか目標に向かって進むことができません。プロサッカー選手として世界で活躍する本田圭佑氏は、そのような状況をどのように乗り越え、継続と習慣化を実現しているのでしょうか。本記事では、本田氏のコメントをもとに、その秘訣を探ります。
本田圭佑氏の哲学:「質は気にせず、ただやる」
本田圭佑氏は「モチベーションが上がらない日も『ただやる』『質は気にしない』それでいい」と語っています。彼はサッカーのプロフェッショナルとして、365日完璧な気持ちを保つのは不可能であることを認め、その中で「ただやる」ことが重要だと強調しています。この考え方は、スポーツ心理学の研究でも支持されています。
アメリカの心理学者アンジェラ・ダックワース氏が提唱する「グリット(粘り強さ)」の概念は、成功するためにはモチベーションだけでなく、粘り強く続ける力が必要であることを示しています 。また、質を重視しすぎると完璧主義に陥り、かえって行動が止まってしまうこともあります。本田氏の「質は気にせず、ただやる」というアプローチは、完璧主義を避けるための効果的な手段と言えます。
継続と習慣化の鍵:「マンネリも受け入れる」
本田氏は、「1年に何回もマンネリ期が訪れる」と認めています。どれだけ好きなことでも、長く続けていれば必ず飽きがきたり、成長しているか疑問に思ったりする時期があると言います。しかし、彼はそれを受け入れ、その上で続けることの大切さを説いています。
行動科学の専門家であるジェームズ・クリア氏は、著書『習慣が10割』で、習慣化には「期待値を下げる」ことが有効だと述べています 。毎回新鮮な気持ちで取り組むことが難しいとき、目標に対する期待値を少し下げてみることで、続けることが楽になります。本田氏の「マンネリも受け入れる」姿勢は、こうした習慣化のプロセスにおいても有効です。
目標達成に向けた「質より量」のアプローチ
本田氏は「継続のコツをよく聞かれますが、モチベーションが上がらない日も『ただやる』『質は気にしない』それでいい」と述べています。彼が重視しているのは、モチベーションが低い日でも「質」にこだわらずに行動し続けることです。量をこなすことで、結果的に成長や変化が生まれるという考え方です。
スタンフォード大学の心理学者キャロル・ドゥエック氏の「成長マインドセット」理論では、成功とは一度の高い質の結果ではなく、繰り返し挑戦し続けることから生まれるとされています 。質を求めるあまり行動を止めてしまうのではなく、量をこなすことが習慣化を助け、最終的に高い成果につながるのです。
ルーティンを「習慣化」の力に変える
本田氏は「単なるルーティン作業として“ただやっている”こともある」と述べていますが、これは重要なポイントです。ルーティン化することで、行動に対する心理的な負担が減り、無意識に目標に向かって進むことができます。
『習慣の力』の著者チャールズ・デュヒッグ氏は、ルーティンがいかにして人の行動を変え、習慣を築くかについて詳細に述べています。彼は、習慣化することで脳が省エネルギー状態になり、意思決定にかかるエネルギーを節約できると説明しています 。本田氏のように、ルーティン化を活用して「ただやる」ことが、最終的には大きな成果につながるのです。
継続がもたらす「結果」を見つめる
本田氏のコメントからは、彼が自分の成長を客観的に評価する姿勢も伺えます。「今、ほんまに成長してるんかな?」と自問することは、目標達成のために重要なプロセスです。しかし、彼はその疑問を抱えつつも、行動を止めずに続ける姿勢を見せています。継続することで得られる結果や変化に注目し、モチベーションが下がる時期でも行動を維持することが大切です。
モチベーション理論の一つである「自己決定理論」によれば、人は「達成感」と「進歩の実感」によって動機づけられます 。そのため、毎日の小さな達成感や進歩を感じることで、長期的な目標に向かってモチベーションを維持しやすくなります。本田氏も、その小さな変化や結果を大切にしているのです。
「完璧な自分」を求めないことの重要性
本田氏は「365日、完璧な気持ちを強く保てる人間なんていないですから」と述べています。これは、誰にとっても完璧である必要はなく、完璧主義を手放すことで、長期的に目標に向かって進むことができるというメッセージです。
アメリカ心理学会(APA)は、完璧主義が過度になると、ストレスや燃え尽き症候群につながる可能性があると警告しています 。日々の行動が完璧でないことを受け入れることで、より柔軟で持続可能なアプローチが取れるようになるのです。
まとめ:本田圭佑流「継続と習慣化」の実践法
本田圭佑氏が示す「ただやる」「質は気にしない」「マンネリも受け入れる」という姿勢は、長期的な成功のために非常に有効なアプローチです。モチベーションが続かない日でも、行動を止めずに続けることが、最終的に大きな結果をもたらします。私たちも、本田氏の考え方を参考にして、日々の行動を継続し、習慣化することで、目標達成に近づいていきましょう。
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夢破れた女性が生まれ変われたのも、スターバックスが社員のやる気を引き出せるのも、事故多発の病院が再生したのも、日々の何気ない行動を変えたのがきっかけだった。私たちの生活は習慣の集積でできている。だから、良い習慣を身につけ、悪い習慣を断ち切れば人生を変えることさえできる。「習慣の力」を科学的に解明し、続けるための極意を説いた200万部突破のミリオンセラーに新章を増補した決定版。解説/隂山英男
【参考文献】
- ダックワース, アンジェラ. (2016). 『GRIT やり抜く力』.
- クリア, ジェームズ. (2018). 『習慣が10割』.
- ドゥエック, キャロル. (2006). 『Mindset: The New Psychology of Success』.
- デュヒッグ, チャールズ. (2012). 『習慣の力』.
- Ryan, R. M., & Deci, E. L. (2000). Self-determination theory and the facilitation of intrinsic motivation, social development, and well-being. American Psychologist.
- American Psychological Association. (2018). Perfectionism: The road to excellence or pathology?
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