令和の時代に必要な「賢い手抜き術」とは
はじめに:なぜ「賢い手抜き」が必要なのか
現代社会では、仕事、家事、育児などに全力を尽くすことが美徳とされています。しかし、真面目に頑張りすぎることが、かえって心身の不調につながることも多いのです。どんなに優れた人でも、長期間にわたって常に100%の力を発揮するのは無理があります。「休むこと」や「手を抜くこと」を上手に取り入れることが、持続的な成果と幸せな生活に不可欠なのです。
真面目すぎると生まれる「燃え尽き症候群」
「燃え尽き症候群(Burnout)」は、真面目で責任感が強い人に多く見られます。これを説明するには、アメリカ心理学会(APA)が提唱する「バーンアウト」の定義が参考になります。これは、過度なストレスによってエネルギーが枯渇し、精神的・身体的な疲労が極限に達する状態を指します。特に、日本のような競争が激しい社会では、職場や家庭での役割を完璧にこなそうとするあまり、多くの人がこの状態に陥りやすいのです。
参考文献:Maslach, C., & Leiter, M. P. (2016). Burnout: The Cost of Caring.
長期的な成功のためには「手抜き」が必要
全てのことに全力を注ぐのは一見理想的に見えますが、長期的な成功のためには「適度な手抜き」が必要です。ビジネスの世界では、「80対20の法則(パレートの法則)」がよく引用されます。つまり、成果の80%は努力の20%から生まれるという考え方です。すべてに全力を注ぐのではなく、重要な部分に集中することで、効率的かつ持続的に成果を上げることができます。
また、育児や家事においても「完璧」を目指す必要はありません。たとえば、心理学者のウィニコットが提唱した「ほどほどに良い母親(Good Enough Mother)」という概念は、親が完璧を目指すのではなく、適度な手抜きをしながら子どもを育てることの大切さを説いています。
仕事における「サボり」も立派な戦略
仕事の現場では、「休むこと」や「リセットすること」が生産性向上に寄与することが科学的にも証明されています。たとえば、オランダのライデン大学の研究によると、短い休憩を頻繁に取ることで、集中力やパフォーマンスが向上することが示されています。この研究では、1時間ごとに5分間の休憩を取ることで、より良い結果が得られたことが報告されています。
さらに、「ポモドーロ・テクニック」のように、25分作業+5分休憩のサイクルで仕事を進める方法も効果的です。仕事を効率よく進めるためには、むしろ「適度なサボり」を取り入れることが欠かせないのです。
育児と家事も「手抜き」で続けやすくする
育児や家事においても、すべてを完璧にこなそうとすると心身に負担がかかります。家事代行サービスや時短グッズをうまく活用することで、日常生活の負担を軽減することができます。また、家族やパートナーと家事を分担することも、心の余裕を保つために大切です。
たとえば、厚生労働省が発表したデータでは、家事や育児を夫婦で分担する家庭ほど、親の幸福度が高いことが報告されています。完璧を目指さずに「できる範囲で」取り組むことが、続けやすく、より良い結果を生むのです。
「サボり」に対する罪悪感を手放そう
多くの人が「サボる」ことに対して罪悪感を持っていますが、それは過剰な自己要求の表れとも言えます。しかし、脳科学の研究によれば、リラックスした状態で過ごす時間が創造性を高めることがわかっています。心理学者のバーバラ・フレドリクソンは、ポジティブな感情を育むことが人間関係の質を向上させ、人生全体の幸福度を高めると述べています。
そのため、罪悪感を手放し、あえて「何もしない時間」を設けることが、自分を大切にする第一歩です。
手抜きの実践例:具体的な「サボり方」リスト
- 仕事:重要でない会議を断る、メール返信をまとめて行う
- 育児:子どもを遊ばせながら家事をする「ながら育児」を活用
- 家事:料理はまとめて作り置き、洗濯は夜間乾燥機で効率化
- 休息:週に一度「何もしない日」を作る
これらの実践例を参考に、自分の生活に合った「サボり方」を見つけましょう。
あくせく仕事をしている人を横目に、どこで何をしているかはわからないけれど、抜群の成果を出す人が、周りにいませんか? 「何をしてもいい自由な時間=サボる時間」をつくるほど、成果がおもしろいように生み出せるようになる。タイパのいい人と悪い人の行動を徹底比較し、「やめるべきこと」とその代わりに「やるべきこと」がひと目でわかる!
おわりに:サボりは「賢い選択」
今の時代、頑張りすぎることがかえって不幸を招く場合が多くあります。適度な「サボり」や「手抜き」を取り入れることが、自分自身を守り、持続的な成果を生む秘訣です。仕事も家事も育児も、100%を目指さなくてもいいのです。「休むこともスキル」という考え方を取り入れ、無理せずに自分らしい生き方を見つけましょう。
参考文献:Fredrickson, B. L. (2009). Positivity: Top-Notch Research Reveals the 3-to-1 Ratio That Will Change Your Life.
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