【要注意】SNSで拡大する「主人公症候群」とは?その特徴と対処法

SNSで拡大する「主人公症候群」とは?

SNSと「主人公症候群」の拡大

SNSの普及によって、誰もが自分の日常を手軽に発信できるようになりました。しかし、その一方で「主人公症候群(Hero Syndrome)」と呼ばれる現象が広がりつつあります。これは、自分が人生の主役であり、他者は自分を引き立てる脇役であるという思い込みを抱く心理状態を指します。本記事では、この症候群が生む迷惑行為や危険な行為の実例を紹介し、その影響を深掘りします。


「主人公症候群」とは何か?

「主人公症候群」は、自分が物語の中心にいるという認識を持つことで、自己中心的な行動や思考が強まる状態です。この症候群は、他人の視点や感情を考えず、自分の都合を優先する傾向が見られます。SNSの投稿においても、周囲の人をあたかも脇役のように扱う行動が典型例です。


SNSが「主人公症候群」を助長する理由

1. 「いいね」やコメントによる即時の承認

SNSでは「いいね」やコメントといったフィードバックが瞬時に得られるため、承認欲求が刺激されます。これが、「もっと注目を集めたい」という思考に拍車をかけ、主人公症候群を助長します。

2. 過度な自己演出

SNSでは、現実よりも脚色された「理想の自分」を演じることが容易です。これは、他人に良い印象を与えるための行動ですが、次第に「自分は特別であるべき」という錯覚に陥ります。

3. 社会的比較によるプレッシャー

他人の成功や充実した生活と自分を比較することで、自分も同じように「主役」のように振る舞うべきだと感じます。これにより、自分を過大評価する傾向が強まり、現実とのギャップが広がります。


「主人公症候群」による迷惑な行為と危険な行為の実例

1. 公共の場での迷惑行為

「主人公症候群」に陥った人は、自分が注目されているべきだという思い込みから、公共の場でも自分勝手な行動を取りがちです。以下のような例があります。

  • 電車やカフェでの無断撮影:SNSに投稿するために他人を許可なく撮影し、プライバシーを侵害する行為が増加しています。
  • 大声でのライブ配信:レストランやカフェなどの静かな場所で、大声でライブ配信を行う人もいます。他人への配慮が欠け、周囲の人に迷惑をかけます。

2. 見せびらかし行動による危険性

自分を「主役」に見せるために、危険な行為を行うケースもあります。

  • 危険な場所での撮影:SNS映えを狙って、ビルの屋上や崖の上で写真を撮影する行為が問題となっています。実際に、事故や転落事件も報告されています。
  • 車を運転しながらの撮影:運転中に動画を撮影したり、配信を行う行為は事故を招く危険があり、法的な問題も含まれます。

3. 他者への批判や炎上行為

「自分は正しい」という思い込みから、他者を批判する投稿を繰り返し、炎上を引き起こすケースもあります。

  • SNS上での誹謗中傷:他人の意見や行動に対して執拗に批判し、炎上に発展するケースが増えています。
  • トレンドに便乗した挑発行為:話題性のあるテーマに便乗して過激な意見を投稿し、注目を集めようとする行動も見られます。

「主人公症候群」が人間関係に与える影響

1. 共感力の低下と孤立

「主人公症候群」に陥ると、他人の感情に対する共感力が低下し、自分の主張を押し通そうとするため、人間関係が悪化することが多いです。友人や家族から距離を置かれ、孤立するケースもあります。

2. 人間関係の消耗

他者を「脇役」と見なす思考は、長期的な人間関係の維持を困難にします。周囲の人々は、自分が利用されていると感じ、関係を断つことが多くなります。

3. 精神的な負担の増大

「主役」であり続けるためのプレッシャーから、精神的な疲労や不安、抑うつを招くことがあります。注目を集めることへの依存が強まると、それが得られない状況で自己肯定感が低下します。


危険な行動が招いた具体的な事件例

  • 崖からの転落事故(2023年)
    SNS映えを狙った撮影中、若者が崖から転落する事故が発生しました。危険な場所での無理な撮影が原因とされています。
  • 無許可撮影によるプライバシー侵害訴訟(2022年)
    有名カフェでの無断撮影を行った結果、一般人がプライバシー侵害で訴訟を起こしました。この事件は、SNSでの投稿がどのように法的問題を引き起こすかを示しています。
  • 運転中のライブ配信による事故(2021年)
    ドライバーが運転中にSNSライブを配信し、追突事故を起こした事件が報じられました。道路交通法違反に加え、他の車両にも危険を及ぼしました。

SNSとの向き合い方を考える

「主人公症候群」はSNS時代の新しい社会課題であり、その影響は精神的負担から人間関係の悪化、さらには事故や法的トラブルにまで及びます。SNSは自己表現の場として有益ですが、その使い方を誤ると迷惑行為や危険行為に発展する可能性があることを忘れてはなりません。

SNSを利用する際には、自分だけでなく周囲の人々への配慮を欠かさないことが重要です。共感と思いやりを持ち、他者の視点も尊重しながら、適切な距離感でSNSを活用していきましょう。


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参考文献

  • Erikson, E. H. (1963). Childhood and Society. Norton & Company.
  • Festinger, L. (1954). A theory of social comparison processes. Human Relations, 7(2), 117-140.
  • Skinnner, B. F. (1953). Science and Human Behavior. Macmillan.

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