“できること”から始める新しい仕事の見つけ方
理想の仕事を見つける難しさ
「好きなことを仕事にしよう」とはよく言われますが、実際にはその「好きなこと」を見つけるのが難しいと感じる人も多いのではないでしょうか。特に、学生や転職を考える人にとって、「自分に本当に向いている仕事」や「好きなことを仕事にする」といったテーマは、あまりに漠然としていて、手の届かないものに感じられることがあります。しかし、その思い悩むプロセスも、自分を理解する上で大切な時間です。
仕事選びで重要なのは、無理に「自分の天職」を見つけようとするよりも、自分にできることや得意なことを見つけていくこと。完璧に自分に合う仕事を見つけるのではなく、まずは消去法で絞っていく方法を試してみることも、実は非常に有効な手段なのです。
多くの芸人から厚い信頼 芸人・構成作家として暗躍する佐藤満春の仕事哲学オードリーのオールナイトニッポン、春日ロケーション、DayDay.、キョコロヒーなど多数の番組を支える影の立役者。放送作家として担当する番組は最多で20本超!作家、芸人、専門家…様々な顔を持つ裏方のプロ サトミツこと佐藤満春が数多くの方と関わりながら、様々な人たちに頼られ、人知れず活躍してきた暗躍の仕事術を大公開。
好きなことを仕事にするという理想と現実
多くの人が、「好きなことを仕事にしたい」と思いながらも、それを実現できずにいるのが現実です。例えば、ある調査によると、就業者の約7割が「自分の仕事にやりがいを感じている」と回答した一方で、そのうちの多くが「本当にやりたい仕事に就いているわけではない」と感じていることがわかりました。これは、現実的にやりたい仕事に就ける人が限られているという事実を示しています。
もちろん、好きなことを仕事にできれば理想的です。しかし、全員がその理想を叶えるわけではなく、やりがいや意義を感じる仕事に落ち着く人も多いのです。つまり、「好きなことが見つからない」という悩みを抱えていても、それを悲観的に捉える必要はありません。
「消去法」という考え方
そこで役立つのが、「消去法」での仕事選びです。これは「何でもできる」ことに縛られるのではなく、「自分にできること」から始め、少しずつ選択肢を絞っていく方法です。たとえば、自己分析をし、自分の得意分野や興味のある分野を探し出し、そこから絞っていくというプロセスです。
この方法は、心理学においても有効だとされています。人は選択肢が多すぎると迷いやすく、選択の質が低下することが知られています(バリー・シュワルツ『選択のパラドックス』)。選択肢をあえて狭めることで、最終的に納得のいく選択ができることが多いのです。
自分に合った仕事を見つけるための第一歩
まず、何が得意で、何が苦手かを明確にすることが、消去法での仕事選びの第一歩です。これには、自己分析や過去の経験の振り返りが役立ちます。例えば、過去に取り組んだプロジェクトやアルバイトで「やりがいを感じたこと」「逆に苦痛だったこと」について書き出してみると、意外と自分の得意分野が見えてきます。
さらに、これまでの経験を通じて「やりたくないこと」を明確にすることも有効です。たとえば、人と接するのが苦手ならば、人と関わりの少ない仕事を選ぶのも一つの手です。逆に、人との交流が好きであれば、営業や接客など、人との関わりが多い職種が向いているかもしれません。
「完璧」な仕事はないという現実を受け入れる
消去法での仕事選びは、完璧な仕事を求めるのではなく、「できる仕事」「少なくとも続けられる仕事」を見つけるためのプロセスです。よく「好きなことをしていると、どんな困難も乗り越えられる」と言われますが、実際には、どの仕事にも辛さや困難はつきものです。
むしろ、仕事の中での成長や、新たな挑戦によって自分自身が好きになっていくということもあります。消去法で選んだ仕事であっても、努力や工夫を重ねることで、仕事に対する愛着が生まれてくることも少なくありません。
やってみないと分からないという大切さ
「好きなこと」「合う仕事」を選ぼうとするあまり、慎重になりすぎて一歩を踏み出せない人も多いでしょう。しかし、何事もやってみないとわからないものです。消去法で選んだ仕事であっても、やってみることで新たな興味や可能性に気づくことがあるかもしれません。
行動心理学によると、人は新しいことに挑戦し続けることで自己成長を感じやすくなり、やりがいを見つけやすくなるといわれています。したがって、消去法で選んだ仕事でも、まずはやってみることで新しい発見や成長が期待できます。
一度決めても、選び直すことはできる
消去法で選んだ仕事に取り組んでも、途中で「やはり合わない」と感じることがあるかもしれません。その場合、再び別の選択肢を探すことは決して悪いことではありません。今は転職も一般的になり、さまざまな仕事を経験してキャリアを形成する時代です。
「好きな仕事を探し続ける」のではなく、「今、自分にできることを探し続ける」と考えれば、自然と仕事に対するアプローチも柔軟になります。一度決めた道を変えることを恐れず、自分の成長に合わせて選択肢を広げていくことが大切です。
まとめ:「できること」から始めて、自分らしいキャリアを見つけよう
「自分に合う好きな仕事を見つける」という理想を追い求めるのは簡単ではありません。しかし、消去法を使って「できること」から選んでいくことで、自然と自分に合った仕事に近づいていくことができます。
仕事はただの「好き」だけで続けられるものではなく、実際に「できること」「やり遂げられること」を土台に築いていくものです。自分の得意や不得意を理解し、無限の選択肢から少しずつ選び取ることで、少しずつ「自分に合う」キャリアを見つけることができるでしょう。
「できることから選ぶ」という考え方を取り入れて、無理なく、自分らしく働ける仕事を探してみてください。
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