実は「冷たい」のではなく、共感しすぎて疲れるから一人でいる人たち

共感能力が高すぎるゆえの孤独

「冷たい人だ」と思われることがよくあります。でも、実際にはそうではなく、むしろ他人の感情を感じ取りすぎてしまうからこそ、距離を置くことを選んでしまうこともあるのです。他人との関わりを避ける選択をするのは、冷淡だからではなく、過剰な共感が原因である場合も多いのではないでしょうか。

私自身も、まさにこのタイプです。人と話すとき、自然と相手の気持ちや表情の変化が気になってしまいます。少し沈んだ表情を見れば、「今、何か嫌なことを言ってしまったかもしれない」と自分を責めたり、逆に楽しそうな笑顔を見ると「どうしてこう感じさせることができたのだろう?」と自分の行動を分析してしまいます。そんなふうに、相手の感情を読み取ろうと無意識に気を遣っているため、気づけばエネルギーをすり減らしてしまうのです。


LAの人気精神科医が教える共感力が高すぎて疲れてしまうがなくなる本

あなたも人の気持ちがわかりすぎて疲れてしまう繊細なタイプではありませんか?
このような共感力の高い体質を「エンパス」といいます。
人の気持ちがわからないサイコパスと真逆の存在です。
エンパスは5人に1人いるといわれ、HSP(ハイリーセンシティブパーソン)とも近い存在です。
エンパス体質の人は、その敏感さ繊細さゆえに、仕事、恋愛、結婚、子育て、人間関係や健康面でも、人生においてさまざまな場面で影響を受けます。


相手の気持ちを考えすぎてしまう性質

共感能力が高い人は、他者の感情を敏感に感じ取ってしまうために、常に相手の気持ちに寄り添いながら会話を進めがちです。例えば、友人と楽しい時間を過ごした後でも、家に帰ってからその場でのやりとりを振り返り、「あの言葉は良かったのだろうか」「もっとこう言えば良かったかも」などと考えてしまい、心が休まることが少ないのです。ほんの些細な言葉や表情の変化でも、敏感に反応してしまう自分を感じます。

こうした「考えすぎてしまう性質」が原因で、知らず知らずのうちに精神的なエネルギーが消耗され、1人になって心を休めたいと感じることが多いのです。友人との集まりや職場での会話も、楽しみながらもどこかで緊張している自分がいて、結果的にその場を離れてからぐったりと疲れを感じることも少なくありません。

共感力が生む「エンパス疲れ」

こうした共感力の高さは、心理学的には「エンパス(Empath)」と呼ばれる特性に関連しています。エンパスとは、他人の感情を自分のことのように感じ取りやすい人々のことを指します。エンパスは、相手が発する微妙な感情の変化や雰囲気を敏感にキャッチし、その影響を強く受けてしまうため、常に他者の感情に左右されやすいのです。そのため、エンパスにとっては人と関わること自体が大きなエネルギーの消耗を伴う行為であり、「エンパス疲れ」という言葉も生まれています。

エンパス疲れは、社会的な場で多くの人と接する場面では顕著に現れます。例えば、職場の会議で複数の人が発言する中、各人の意見や感情を自分の中で咀嚼し続けることで、会議が終わる頃には自分自身がどっと疲れを感じるのです。仕事での成果やスムーズな人間関係を求める一方で、心の中ではどこか一人になりたいと感じる。この矛盾した感覚に、私もよく葛藤しています。

「冷たい人」ではなく「疲れやすい人」

こうした背景を知らない人から見れば、あまり人と関わらない私は「冷たい」と映るかもしれません。しかし、実際には他人の気持ちを察しすぎて、過度に気を遣ってしまう結果、一人の時間を必要としているのです。こうした共感の負担から距離を置き、自分のエネルギーを守るための選択として、一人の時間を取ることが欠かせないのです。

このように考えると、他人と距離を置くことが冷たさではなく、むしろ自分を守るための自然な行動だということに気づかされます。相手のことを深く考えすぎて疲れてしまうからこそ、必要な時には距離を取ることが「冷静な判断」とも言えるかもしれません。

孤独は「選んでいる」時間

私にとって、孤独は決して寂しいものではありません。むしろ、自分と向き合い、疲れた心をリセットするための大切な時間です。誰かといることで得られる楽しさや温かさももちろん大事ですが、自分の中でエネルギーが満たされていなければ、他者と心から向き合うことはできません。

一人でいる時間を大切にすることで、自分の気持ちを整理し、次に誰かと会う時には新鮮な気持ちで関わることができます。共感能力が高いからこそ、私たちには自分を守るための「一人の時間」が必要なのです。これを理解することで、他人との関係も無理なく築いていけるようになりました。

「冷たい人」と思われても自分を大切にする

結局、他人に「冷たい」と思われることがあっても、自分を犠牲にしてまで相手に合わせることはできません。共感しすぎて疲れてしまう自分を大切にしながら、心のバランスを保っていくことが、私にとって一番の選択です。他者に優しさを示すためには、まず自分が心地よくいることが大切だと思います。

他人の気持ちを敏感に感じ取りすぎてしまうのは決して悪いことではなく、それだけ人に寄り添いたいという気持ちが強い証です。そのために時には距離を置き、自分をリセットすることも大事だと再認識しています。


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