蒲田の熱狂、極上のサウナ体験

サウナに行く理由は、ただの「整い」だけじゃない

「整う」っていう言葉が、ここ最近市民権を得た。
サウナに入って、水風呂に飛び込んで、外気浴でぼんやりする──そうすると、なんだか気分がスッキリするらしい。確かに、それもある。でも、そんな簡単な話じゃないのよ、サウナって。

人はなぜ、熱さと冷たさの狭間を行き来するのか。
それは、もしかすると"生きてる実感"を取り戻すためなんじゃないか、と思う。
で、それを存分に味わうには、場所が大事だ。

今回は、そんな"生"を実感できる場所、蒲田の名湯「新呑川湯」を紹介したい。
ここはもう、ただの銭湯ではない。
「生活の一部に組み込んでしまいたい」と思わせる、熱気と冷気のワンダーランドなのだ。

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「サウナは何℃がベストか？」
この質問に対する答えは、実に千差万別だ。
ぬるめが好きな人もいれば、「100℃超えじゃなきゃ意味がない」という剛の者もいる。

そんな中、新呑川湯のサウナは120℃超えという数字を叩き出している。
これを聞いたとき、「いやいや、それは拷問では？」と思った。
120℃なんて、家のオーブンの予熱と同じくらいだし、こんがり焼かれる未来しか想像できない。

しかし、実際に入ってみると、意外にも「いける」。
その理由は、程よい湿度にある。
カラカラすぎず、適度な蒸気があるため、呼吸がしやすいのだ。

熱さが苦手な人も、ここでは意外と長く耐えられるかもしれない。
もちろん「耐える」って言っても、修行僧みたいな話ではない。
むしろ、心地よい刺激として感じられるのが、このサウナのすごいところだ。

熱々のサウナを堪能したら、次に行くべきは水風呂。
新呑川湯の水風呂は、13℃という表記になっている。

「13℃？ちょうどいいんじゃない？」
そう思うのは甘い。

いざ飛び込んでみると、これがもう、驚くほど冷たい。
肌に刺さるような感覚。
呼吸が一瞬止まるような衝撃。
でも、その後すぐに「ああ、これだ」と思う。

これはもう、数字じゃ語れない。
体感温度としては、正直10℃以下に感じることもある。
水がしっかり冷えていると、クールダウンが早い。
すると、サウナの熱とのギャップがより大きくなり、結果として"整い"が加速するのだ。

ちなみに、この水風呂、意外と広め。
混雑時でもスムーズに入れるのもありがたいポイントである。

「蒲田のサウナは熱い」
これは、ある種の都市伝説のように語られてきた。
でも、これは本当にそうで、新呑川湯だけじゃなく、蒲田周辺の銭湯はどこも温度が高めなのだ。

なぜか？
それは、この街が持つ気質に関係していると思う。

蒲田といえば、下町文化が色濃く残るエリア。
人情があり、活気があり、昼から飲める店も多い。
そういう街に根付くサウナ文化も、どこか「ガツン」とくるものが求められるのかもしれない。

このエリアの人々は、甘ったるいぬるま湯には浸からない。
彼らが求めるのは、パンチのある熱さと、それに耐えた後の爽快感。
だから、蒲田には高温サウナが多いのだろう。

サウナに入って、水風呂に浸かり、外気浴でぼんやりする。
これを何度も繰り返すと、まるで人生の縮図を見ているような気持ちになる。

熱さを耐えた先には、冷たい水風呂がある。
その後には、心地よい外気浴が待っている。

これは、人生にも言えることじゃないか？
辛いことがあっても、その後にスッと楽になる瞬間がある。
その波を繰り返して、人は生きていく。

だから、サウナに通うのかもしれない。
単なるリラックス目的じゃなく、"生"を実感するために。

サウナ好きなら、一度は行ってみるべき場所。
それが、新呑川湯である。