「遺体の取り違え」と「夫隠し」は現実に起こり得るか?「夫に間違いありません」第一話の謎を徹底考察

死んだはずの夫が、一年後にふらりと帰ってきたらどうするか――。 そんな衝撃的な問いかけで幕を開けた『夫に間違いありません』の第1話。水死体として発見され、葬儀も済ませたはずの夫・一樹(安田顕)が生きて目の前に現れたとき、妻・朝比聖子(松下奈緒)が選んだのは感動の再会ではなく、なんと「夫の生存を隠蔽する」という道でした。

なぜ聖子はそこまで追い詰められてしまったのか。そして第1話に散りばめられた謎や違和感について、実際に起きた類似事件の事例も交えながら深く考察していきます。

戻れない嘘と、安田顕の「絶妙なクズ夫」

物語の発端は、2年前に勝手に嫌気が差して家を出ていき、行方不明になっていた夫・一樹の死亡認定でした。一年前に発見された水死体は腐敗が進んでおり顔での判別は不可能でしたが、手のほくろの位置が一致したこと、そして所持品から本人の免許証が出てきたことで一樹だと断定されました。

しかし、彼は生きて帰ってきました。最大の問題は、聖子が彼不在の間に受け取った死亡保険金を、息子の受験費用、おばあちゃんの認知症介護、そして営んでいる店の借金返済のために既に使ってしまっていたことです。今さら「生きていました」と申告すれば、保険金詐欺を問われるだけでなく、返す当てのない大金を請求されることになり生活は破綻します。 こうして、聖子は「夫は死んだことにしておく」という、引き返せない嘘をつくことになりました。それにしても、安田顕さんが演じる一樹の、悪気はないけれど周囲を不幸にしていくトラブルメーカーぶりが凄まじく、見ているだけで胃が痛くなるほどのリアリティです。

【実話との比較】「遺体の取り違え」と「夫隠し」は現実に起こり得るか

このドラマの設定は非常に突飛に見えますが、実は過去に類似した事件が世界で起きています。

まず、「遺体の取り違え」についてです。日本でも2017年に、行方不明だった男性と特徴が一致した水死体を家族が本人と確認して火葬したものの、一年後に本人が帰宅したという事例があります。水死体は腐敗によるガスで膨張し(巨人様化)、顔の判別が非常に困難になるため、衣服や所持品、身体的特徴(ほくろや手術痕)に頼らざるを得ないケースがあり、ドラマのように免許証を持っていれば誤認してしまう可能性は十分にあり得るのです。

また、「夫を隠して保険金を得る」という点では、イギリスで起きた有名な「カヌーマン事件(ジョン・ダーウィン失踪事件)」が想起されます。借金苦からカヌー事故に見せかけて死を偽装し、妻が保険金を受け取った後、夫は隣の家に隠れ住んでいたという事件です。この事件では、最終的に夫婦のツーショット写真がネットで見つかったことで嘘が露見しました。 現実の事件が示すのは、「隠し通すことの難しさ」です。ドラマの聖子も、今は必死に隠蔽していますが、現代社会において死んだはずの人間を隠し続けることは不可能に近く、破滅へのカウントダウンは既に始まっていると言えるでしょう。

考察①:冒頭の「突き落とし」と遺体の正体

第1話最大のミステリーは、「なぜ別人(葛原紗春の夫)が一樹の免許証を持っていたのか」という点です。 ドラマの冒頭、何者かが男性を橋から突き落とすシーンが描かれましたが、この突き落とされた人物こそが遺体で見つかった「葛原紗春の夫」である可能性が高いでしょう。

ここで浮上する疑問は、誰が突き落としたのかということです。もし突き落としたのが一樹本人だとすれば、彼は自分の身分証を被害者に持たせ、意図的に「自分が死んだこと」にして逃亡を図った計画犯ということになります。 ただ、一樹の性格を見るに、そこまで周到な計画ができるようには見えません。もしかすると、何かトラブルに巻き込まれた末の突発的な犯行か、あるいは免許証を奪われるような別の経緯があった上で、犯人が別にいるという可能性も捨てきれません。いずれにせよ、一樹がこの死に関与していることは間違いないでしょう。

考察②:聖子を包囲する3つの脅威

聖子が隠蔽工作を図る中で、彼女を追い詰める脅威が次々と明らかになりました。

一つ目は、行方不明者家族の会で出会った葛原紗春の存在です。聖子が彼女の娘の看病で家を訪れた際、写真などから「水死体=紗春の夫」であることが判明してしまいます。夫の帰りを待ちわびる紗春に対し、聖子はその夫を「自分の夫」として葬ってしまった加害者でもあります。この皮肉な巡り合わせは、今後、紗春が真実を知ったときに最大の修羅場となるでしょう。

二つ目は、一樹の愛人だったキャバクラ嬢です。一樹は失踪中、彼女と一緒に住んでいました。
聖子からもらった金を持って再び店を訪れています。彼女は一樹が生きていることを知っている唯一の他人であり、保険金のことも察するはずです。彼女が口止め料として聖子を強請ってくる展開は容易に想像できます。

そして三つ目は、身内の目撃者であるおばあちゃんです。認知症のおばあちゃんだけが、店に戻ってきた一樹を目撃しており、「お父さんがこの帽子かぶっていた」と口にしています。子供はそれを症状の一つとして流していますが、実在したカヌーマン事件でもふとしたほころびから嘘がバレたように、この「真実を知る目撃者」の言葉が、後に決定的な証拠となって聖子を追い詰めるボディブローになっていくはずです。

弟・貴島光聖が握る「正義と家族愛」の鍵

個人的に最も期待しているのが、中村海人さん演じる聖子の弟・貴島光聖の役割です。彼は有能な銀行員であり、家族を守るという使命感が非常に強いキャラクターとして描かれています。

銀行員という社会的信用が第一の立場にありながら、姉の犯罪に巻き込まれていくという設定は非常にスリリングです。「正義感・倫理観」と「家族愛」の板挟みになった彼が、どの段階で真実を知り、どう動くのか。姉を守るために闇落ちして隠蔽に加担していくのか、それとも別の道を探るのか。彼の葛藤と決断がこのドラマの裏のメインテーマになりそうです。

まとめ:ここから始まる泥沼のサスペンス

第1話は、状況説明とキャラクター配置という「起承転結の“起”」を非常に丁寧に描いていました。実際の事件と比較しても「あり得るかもしれない」と思わせるリアリティと、「もう後戻りできない」というヒリヒリした空気感が素晴らしかったです。

聖子が嘘を守るためにどこまで冷徹になれるのか、そして夫の生存を知る女たちとの攻防がどう描かれるのか。次週からのハラハラする展開に期待が高まります。


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