【9話考察まとめ】『良いこと悪いこと』9話で明かされた真実を整理する

ドラマ『良いこと悪いこと』第9話は、犯人が明かされたようでいて、同時に「本当の真犯人は別にいるのではないか」という謎を残す回でした。

宇都見が犯人であるかのように描かれた一方、次回予告のタイトルは 「真犯人、だーれだ?」

この違和感こそが、9話の最大のポイントです。

第9話は物語の答えを提示する回というよりも、最終話に向けて、これまでの出来事を整理し直すための回だったと言えるでしょう。

この記事では、『良いこと悪いこと』9話で明かされた事実を一度整理し、そこから浮かび上がる疑問点と考察をまとめていきます。

9話で明確になったこと

①瀬戸紫苑が「ドの子」になった理由

第9話でまず明確になったのは、瀬戸紫苑がなぜ「ドの子」と呼ばれるようになったのか、その過去です。

瀬戸紫苑は小学5年生のリコーダー発表で、「ド」の音を外してしまいました。
そのミスをきっかけに、彼女はキングたちからいじめを受けるようになります。

もともと気が弱かった紫苑にとって、この経験は深いトラウマとなりました。
その結果、彼女はピアノの「ド」の音を弾けなくなってしまいます。

「ド」をミスした子。
そうして紫苑は、“ドの子”と呼ばれる存在になったのでした。

②タクト学園と《カノン》が紫苑を救った

その後、紫苑はフリースクールであるタクト学園へ転校します。
ここで彼女は、少しずつ心を回復させていきました。

紫苑が選び、最も大切にするようになった曲が、パッヘルベルの《カノン》です。

《カノン》には「ド」の音がありません。
だからこそ、紫苑はこの曲を弾くことができました。

欠けたままでも、美しく在れる。
《カノン》は紫苑にとって、再生そのものを象徴する曲だったのです。

③宇都見と瀬戸紫苑をつないだ「カノン」

宇都見と紫苑が出会ったのは、紫苑の演奏会でした。
仕事に追われ、心を疲弊させていた宇都見は、彼女が奏でる《カノン》に強く惹かれ、癒やされます。

その後、宇都見は紫苑の演奏会に何度も足を運ぶようになり、やがて二人は婚約関係となりました。

紫苑の演奏は、宇都見にとっても確かに「良いこと」でした。
この時点では、カノンは二人にとって“救いの象徴”だったのです。

すべてが反転した「花音(カノン)」の登場

幸せの最中一瞬にして悲劇に変わります。キングの再登場でした。
彼は娘を連れて、紫苑のピアノスクールを訪れます。

その娘の名前は「花音(カノン)」。

かつて自分をいじめた人間が、自分を救ってくれた曲の名前を何のためらいもなく使っている。
この出来事によって、紫苑は再び過去のいじめをフラッシュバックします。

この瞬間、紫苑の中で良いことだったカノンは、悪いことへと反転しました。

紫苑は再びピアノを弾けなくなり、最終的に自ら命を絶ってしまいます。

宇都見の復讐が始まった理由

この事実によって、9話で最も大きなことが明らかになります。
それは、宇都見が実際に手を下していた人物、つまり復讐の実行犯であったという点です。

宇都見の行動原理は一貫しており、すべては婚約者・瀬戸紫苑の死に起因しています。

紫苑を失った宇都見は、復讐を開始しました。

ターボーの死と「夢になぞらえた殺し」

ターゲットとなったのが、ターボーです。
彼はVRで宇宙体験をしている最中に殺されました。

ターボーの夢は「宇宙に行くこと」。
しかし宇宙は、息のできない場所です。
この構図は、作中で繰り返されてきた
小学生の夢になぞらえた死を象徴しています。

9話ラストの《カノン》と「あとは頼んだ」

9話の終盤、ターボーを殺したあと、紫苑の追悼コンサートで宇都見は《カノン》を演奏します。

その演奏が終わると同時に、宇都見は逮捕されました。

しかし彼は、口パクでこう言い残します。

「あとは頼んだ」

この一言が示しているのは、宇都見が“一人で復讐を終えたつもりではない”ということです。

9話はここで終わりますが、この言葉が最終話へ続く接点です。

9話時点で浮かび上がる疑問と犯人考察

宇都見のほかの“真犯人”は誰か

第9話で宇都見が復讐の実行犯であることは、ほぼ明確になりました。
しかし、次回予告のタイトルは「真犯人、だーれだ?」。

この言葉は、宇都見が手を下した人物であっても、
物語としての“真犯人”は別に存在する可能性を強く示しています。

そこで浮かび上がるのが、タクト学園の仲間たちの存在です。

Screenshot

東雲が握っていた「情報」と「ヒント」

特に不自然なのが、東雲の立ち位置です。
彼女は第1話から、事件や被害者について異様なほど多くの情報を知っていました。

象徴的なのが、第1話でのこのセリフです。

「にしても……空を飛ぶことが夢だった子が、落ちて死ぬとは、皮肉だね」

この発言は、ただの感想とは思えません。
作中で繰り返されてきた「小学生の夢になぞらえた死」を、
最初から理解していた者の言葉に聞こえます。

さらに東雲は、貧ちゃんが描いた絵の内容も把握していました。
つまり彼女は、直接手を下さずとも、
情報や言葉によって事件の方向性を示す“ヒント役”だった可能性があります。

イマクニは「監視役」だったのか

もう一人、気になる存在がイマクニです。

Screenshot

イマクニは、キングたちの溜まり場となる店を提供しており、彼らの行動や会話、感情の動きを常に把握できる立場にいました。
また重要な新情報はイマクニで明らかになっていました

計画が思い通りに進んでいるか。

そうした“第三者線で計画”を担っていたのが、イマクニだったと考えると自然です。

さらに注目したいのが、各話の予告タイトルです。

冒頭1分1人死ぬ
次の犠牲者、だーれだ?
真犯人は、親友ー!?
3つ目の死体、だーれだ?
黒幕、だーれだ?
4つ目の死体は誰?
あーあ 死んじゃった
7人目、だーれだ?
犯人だーれだ?
真犯人だーれだ?

これらはすべて、恐怖を煽りながらも、どこか“面白がっている”ような口調で統一されています。

また、番組タイトルロゴの反転している謎が考察にたびたび上がっていました。
今回新たな考察が生まれ犯人イマクニ説が有力視されることとなった理由として
それは「良いこと悪いこと」をよく見ると
いマくに

その言い回しは、イマクニの話し方と非常によく似ています。
予告タイトルそのものが、犯人側、あるいはイマクニ目線の言葉だった可能性も否定できません。

それでも残る未回収の要素

ただし、タクト学園の仲間だけでは説明しきれない点も残っています。

まず、卒業アルバムをタイムカプセルに入れるには、学校関係者の協力が不可欠です。

考えられる一つの可能性としては…
紫苑の自殺を校長が知る↓
過去に教師としていじめを黙認していた事実を自分の娘や孫に知られたくなかったため、犯行に協力した──という線です。

また、事件が「森のくまさん」の替え歌の順で起きている点も、偶然と片付けるには無理があります。

この替え歌を覚えていた人物はターボーでした。
犯人がその情報を知っていた。
あるいはそれを知った段階で、計画そのものが変更されたのか。
ここも最終話で回収されるべき重要なポイントです。

9話は「答え」ではなく「整理」の回だった

9話で分かったのは、宇都見が瀬戸紫苑への愛ゆえに手を汚した、復讐の実行犯だったという事実です。

しかし同時に、彼の背後には思想や計画を共有する存在がいる可能性も浮かび上がりました。

第9話は、物語の答えを出す回ではありません。
最終話を迎える前に、
視聴者が情報を整理し直すための回だったと言えるでしょう。

最終話で問われるのは、
「誰が殺したのか」ではありません。

誰が、この復讐を“正しい”と判断し、
誰がそれを指揮し、動かしたのか。

その答えを見届けるために、
9話を振り返ることには大きな意味があるはずです。


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