蜂蜜とオリーブオイルは、健康志向の高まりとともに多くの家庭で常備される人気の食材です。しかし、近年の調査では、これらの製品が「本物」であるとは限らない実態が浮き彫りになってきています。生産量をはるかに上回る流通量、そして混入・偽装といった問題が、私たち消費者の知らないところで進行しているのです。
蜂蜜:その甘さ、本当に自然の恵み?
本物の蜂蜜は、花の蜜をミツバチが採集し、酵素を加えて熟成させたものです。しかし、コスト削減や収益拡大のために、水飴・砂糖シロップなどを混入した「偽蜂蜜」が多く流通していることが、国内外の調査で明らかになっています。
偽蜂蜜の特徴
- 異常に安い価格:純粋な蜂蜜は製造に手間がかかるため、高価です。価格が極端に安い製品には注意。
- 成分表示に注意:本物の蜂蜜には「蜂蜜」としか記載されません。「蜂蜜加工品」「果糖ブドウ糖液糖」などの記載があるものは混合物の可能性があります。
- 味と香りが単調:本物の蜂蜜は花の種類によって風味が異なり、香りも豊かです。偽蜂蜜は甘いだけで、風味に奥行きがない傾向があります。
消費者ができる対策
- 認証マーク(例:JASマーク)を確認
- 信頼できる生産者や養蜂家から直接購入
- 原材料表示を細かくチェックする習慣を
オリーブオイル:健康オイルにも偽物が?
オリーブオイル市場では、より深刻な偽装問題が指摘されています。エクストラバージンオリーブオイルと表示されていながら、品質が基準に満たない、あるいは他の油(大豆油やヒマワリ油など)を混ぜたものが「オリーブオイル」として販売されている事例が後を絶ちません。
偽物オリーブオイルの兆候
- 透明なプラスチック容器に入っている:本物のオリーブオイルは、酸化を防ぐため遮光性のある瓶に入っているのが一般的です。
- 価格が不自然に安い:特に輸入品で安すぎるものは、品質に疑問符がつきます。
- ラベルに信頼性がない:生産地や収穫年、搾油方法が明記されていない製品には注意が必要です。
見分けるポイント
- DOP(原産地名称保護)、IGP(地理的表示保護)などの認証ラベルをチェック
- オリーブの収穫時期や「コールドプレス(低温圧搾)」の記載があるか確認
- オリーブオイルソムリエ協会などの信頼できる機関による推奨品を選ぶ
なぜこうした偽装が横行するのか?
背景には、「ブランド価値の高さ」と「生産量の限界」があります。
- 蜂蜜もオリーブオイルも、天候や自然環境に大きく左右される農産品であり、安定供給が難しい。
- 一方で健康ブームや輸出需要が拡大し、需要は増える一方。
- このギャップを埋めるため、不正な増量や偽装が行われていると考えられています。
私たちができること
- 「安さ」より「信頼性」を重視する消費行動を取ること。
- 正しい知識を持つこと。この記事のような情報を活用して、ラベルや製造元をよく見る習慣をつけましょう。
- 生産者とのつながりを持つ。生産地直送や信頼できる専門店を通じた購入は、品質保証につながります。
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