野原ひろしが教える「この家族だからこそ幸せ」の理由
「家族だから幸せなわけじゃない。野原家だから幸せなんだ!俺とみさえとしんのすけとひまわり、この4人で幸せを作ってるんだ!」
このセリフが飛び出したのは、『映画クレヨンしんちゃん ちょー嵐を呼ぶ 金矛の勇者』のクライマックス。野原ひろしが言い放つこの言葉、なんてことない日常を描くクレヨンしんちゃんの物語に込められた深いメッセージを、ふっと浮かび上がらせるんです。
「当たり前」に思えるけれど
家族であることは、時に無条件に幸せを保証してくれるように思われがちです。血縁があり、同じ家に住んで、共に生活する――それだけで十分に「家族なんだから幸せだよね」と片付けられそうです。
でも、この映画を観て感じるのは、それがいかに甘い考えかということ。「家族だから幸せ」なんていうのは幻想に過ぎないんです。野原ひろしが言うように、「この家族だから幸せ」なんだと気づくことの方が、よっぽど重要で難しい。
野原家という奇跡
野原家を思い浮かべると、ひろしとみさえの喧嘩は日常茶飯事だし、しんのすけは自由奔放で、ひまわりはまだ幼い赤ちゃん。彼らの生活は、世間的に見れば「理想的な家族像」からはほど遠いかもしれません。
だけど、それが野原家なんです。彼らは完璧な家族ではないけれど、その不完全さこそが、彼らの家族らしさを形作っています。一緒にバカなことをして笑い合い、時に喧嘩をしてもまた自然に元に戻る。それが「野原家の幸せ」の形なんです。
「幸せを作る」ということ
この映画でひろしが教えてくれるのは、「幸せは誰かが与えてくれるものではなく、家族全員で作り上げるものだ」ということ。ひろし、みさえ、しんのすけ、ひまわり。それぞれがそれぞれの形で家族を支え、笑い合いながら前に進むことで、彼らは「野原家の幸せ」を作り出している。
家族というのは、ただ同じ家に住んでいればいいわけではありません。それぞれが互いに影響を与え合い、時にはぶつかりながら、幸せを「共同制作」していくものです。野原家を見ていると、それがいかに素敵なプロセスかがわかります。
「特別な存在」を感じること
このシーンが教えてくれるのは、「この家族だから幸せ」という感覚の大切さです。誰とでも同じ幸せを感じられるわけではありません。特定の人たちといるからこそ感じられる、かけがえのない温かさがあるんです。
それは家族に限らず、友人や恋人、職場の仲間にも当てはまるかもしれません。この関係だからこそ生まれる幸せを感じられる瞬間。それに気づくことができたとき、私たちは初めて「自分の居場所」を見つけられるのかもしれません。
「普通の家族」の尊さ
クレヨンしんちゃんの映画シリーズは、毎回大掛かりな冒険や感動的なテーマを描きながらも、最後に残るのは「普通の家族」の尊さです。平凡に見える日常の中に、実は奇跡のような瞬間がたくさん詰まっている。それを気づかせてくれるのが、野原ひろしの言葉です。
最後に
「家族だから幸せなわけじゃない。この家族だから幸せなんだ」。このセリフを思い出すたびに、私たちの身の回りの家族や大切な人との関係を振り返るきっかけになるのではないでしょうか。
野原家のように、どんなに不完全でも、笑い合いながら幸せを作っていく。それこそが、家族というものの本質なのかもしれません。
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