自分ひとりでデカくなった気でいるヤツは、デカくなる資格がない
1997年公開の『映画クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡』の中で、野原ひろしが放ったこのセリフは、普段のひろしのひょうひょうとした姿からは想像できないくらい力強く、そして深いメッセージを持っています。
しんのすけがなぜひまわりだけを守るのかと父に疑問をぶつけたとき、ひろしは「みんな誰かに守られて大きくなるんだ」と話しました。この言葉には、子どもに対する父親の責任感だけでなく、ひろし自身が人生で学んできたことが凝縮されているように感じます。
「守られている」という自覚
人間は誰しも、自分の力だけでここまで来たわけではありません。それを忘れてしまうと、いつしか傲慢になり、自分を過大評価してしまう。ひろしの言葉が教えてくれるのは、「自分がどれだけ他者に支えられてきたかを忘れないこと」の大切さです。
例えば、親から受けた愛情や教育、友人や同僚との助け合い。誰かが陰ながら支えてくれたからこそ、私たちは今の自分でいられる。けれど、日々の忙しさの中で、その事実をつい忘れてしまうことがあります。
ひろしは、しんのすけに「ひまわりを守るのは当然だ」と言うのではなく、「みんな守られて大きくなったんだ」と教えます。そこには、自分がかつて守られてきた経験を、しんのすけにも伝えたいという思いが込められているのです。
「デカくなる資格」の意味
「自分ひとりでデカくなった気でいるヤツは、デカくなる資格がない」。この言葉は、ひろしが持つ人生観そのものだと思います。自分の成長や成功を、他者からの影響や支えがあってこそだと理解できる人こそ、本当の意味で「デカくなる」資格があるのだと。
このセリフを聞いて思うのは、謙虚さの大切さです。どれだけ成功しても、「自分は周囲の支えがあったからこそ」と感謝できる人は、その先の人生でも他者に支えられるでしょう。一方、自分の力だけを過信する人は、いずれ孤立してしまうのではないでしょうか。
父と子の会話が教えてくれるもの
このシーンでの父と子の会話は、日常の中で見落としがちな「誰かに守られている」という事実に気づかせてくれます。しんのすけは、自分が家族の中でどれだけ愛され、守られているかを知ることで、ひまわりを守るという役割を受け入れるきっかけを得ます。
野原ひろしが伝えるのは、家族という小さな単位だけでなく、もっと広い世界でも通じる普遍的な真理です。私たちが他者を守り、支え合うことで、社会全体が豊かになる。そんな当たり前のことを、ひろしは父親としての立場からしんのすけに教えています。
謙虚さを持つということ
ひろしのセリフを聞いて、「謙虚であること」の本当の意味を考えさせられます。謙虚さとは、自分を小さく見せることではありません。それは、自分の存在が他者によって成り立っていると理解し、感謝の気持ちを持つことです。
ひろしはしんのすけに「ひまわりを守るのはお兄ちゃんだから」と言い聞かせるのではなく、もっと根本的な部分に触れています。「人は誰かに守られているんだ」という言葉は、守る側だけでなく、守られる側の視点も含んでいます。だからこそ、この言葉は聞く人の心に響くのです。
最後に
「自分ひとりでデカくなった気でいるヤツは、デカくなる資格がない」という野原ひろしの言葉は、私たちに謙虚であること、そして感謝を忘れないことの大切さを教えてくれます。家族や友人、同僚――身の回りの人々に支えられているからこそ、私たちは今の自分でいられる。その事実に気づき、感謝することで、私たちはさらに成長できるのではないでしょうか。
野原ひろしのシンプルで力強い言葉を胸に刻みながら、私たちもまた、周りの人々と支え合いながら生きていきたいものです。
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