スマホ時代の「読解力低下問題」って本当?
「最近の若者は読解力がない。」
ニュースや本を読んでいると、そんなフレーズをちょいちょい見かける。まるで、読解力のない世代に生まれたことが罪であるかのように。でも、ちょっと待ってくれ。僕たちは本当にそんなに文章を読めなくなってしまったのだろうか?
確かに、スマホを開けば短文と動画が目に飛び込んでくる。TikTokは60秒、X(旧Twitter)は140字(今はもうちょっと長くなったけど)で完結する世界。情報は短く、サクッと済ませるのが基本になっている。でも、それがすぐに「読解力の低下」に直結するかというと、少し違う気がする。問題は単純に「本を読まない」とか「長文が苦手」という話じゃない。
「読解力がない」と言われる世代の僕たちが、実際にどういう状況にいるのか、もう少し掘り下げてみよう。

【人類の永遠の悩みに挑む!】
「大人になってから、読書を楽しめなくなった」「仕事に追われて、趣味が楽しめない」「疲れていると、スマホを見て時間をつぶしてしまう」……そのような悩みを抱えている人は少なくないのではないか。
「仕事と趣味が両立できない」という苦しみは、いかにして生まれたのか。
自らも兼業での執筆活動をおこなってきた著者が、労働と読書の歴史をひもとき、日本人の「仕事と読書」のあり方の変遷を辿る。
2. 短い文章に慣れた僕らの「わかったつもり」
情報が溢れかえっている今、僕たちは「効率よく理解する」ことに長けている。ニュースを読むにしても、記事のタイトルや最初の数行をパッと見て、「なるほどね」と結論を出す。SNSで流れてくる要約だけを見て、「だいたいの内容は分かった」と思う。
でも、これが読解力の低下を招く最大の罠だったりする。
教育学者の齋藤孝さんは、著書『読書力』の中で、「読解力とは、単なる情報処理能力ではなく、文章の背景や行間を読み取る力」だと語っている。つまり、表面の意味を理解しただけでは、本当に読んだことにはならないのだ。僕らが陥りがちなのは、「わかったつもり」になってしまうこと。
たとえば、ニュース記事のタイトルに「新しい税制改革が発表」とあったとする。それを見て、「ああ、税金が変わるのね」と思う。でも、その変更がどの層に影響するのか、どんな背景で決まったのかを読まないまま、「なんか増税っぽい」「政府またやってるな」と結論づける。実際には、その改正で恩恵を受ける人もいるかもしれないし、実施時期によって影響が異なることもあるのに、そこまでは読まない。
これが「読解力がない」と言われる一因なんじゃないかと思う。
3. 「長文が読めない」わけじゃない。読み方が変わっただけ。
「今の若者は本を読まない」とか「文章が長いと集中力が続かない」とか、よく言われる。でも、僕の周りを見渡してみても、小説を読む人はちゃんといるし、ネットの長文コラムに夢中になっている人もいる。何なら、noteやブログで何千字ものエッセイを読むのが好きな人も少なくない。
読書習慣の調査でも、「紙の本を読まない」というデータはあるけれど、一方で「電子書籍で読んでいる」「ネット記事で長文を読む機会が増えた」という層もいる。つまり、文字を読んでいないわけじゃなく、「読む場所」と「読む目的」が変わったのだ。
現代の僕たちは、「楽しく読めるもの」に対しては、時間をかけてじっくり向き合う。たとえば、人気のWeb小説やマンガの考察記事を読んで、何千字もの情報を一気に頭に入れることはできる。でも、仕事や勉強のために読まなきゃいけない長文には、どうしても抵抗を感じる。要するに、「読みたいものは読めるけど、興味のないものはキツい」って話なのだ。
4. じゃあ、どうすればいい? 読解力を上げるためにできること
ここまで「読解力が低下している」と言われる理由を見てきたけれど、じゃあ僕たちはどうすればいいのか?
結論から言うと、**「ちゃんと読む習慣をつける」**しかない。
でも、「本を読め」とか「新聞を毎日読め」とか、そういう話ではない。もっと現実的に、無理なく読解力を鍛える方法がある。
① 深く考えながら読む
ただ文字を追うだけじゃなく、「これってどういう意味?」と自分に問いかけながら読むクセをつける。たとえば、誰かの意見を聞いたときに、「なぜそう考えるんだろう?」と考えてみるだけでも、読解力は鍛えられる。
② 何かを要約してみる
記事を読んだら、「この内容を3行でまとめるなら?」と考えてみる。これは本当に効果がある。要約するには、文章の本質をつかまなきゃいけないから、ただ読んで流すよりも理解が深まる。
③ 自分の言葉でアウトプットする
読んだことを誰かに説明する。これが一番強力だ。「なるほどね」で終わらせず、「つまりこういうこと?」と人に伝えることで、自分の中で整理される。
5. 文章と向き合うことが、僕らの未来を変える
「読解力がない」と言われる時代に生きている僕たちだけど、それは「文章を読んでいない」わけじゃなく、「読むスタイルが変わった」だけだ。でも、短い情報ばかりに触れていると、いつの間にか「わかったつもり」になってしまうことがある。それを防ぐために、意識的に深く読む習慣をつけることが大事だ。
文章を読む力は、一生モノのスキルだ。仕事でも、人間関係でも、文章を読めるかどうかで大きな差がつく。逆に言えば、読解力を鍛えておけば、世の中の情報を「表面だけで判断する」ことが減り、自分で考え、決断できる力がつく。
今の時代だからこそ、「読解力」という武器を持っておくことは、ものすごく大事なことなのかもしれない。だから、僕は今日も文章を読もうと思うし、あなたにもぜひ「ちょっと深く考えながら読む時間」を作ってみてほしい。
読解力をつけることは、未来を自分で選ぶ力を持つことだ。
だからこそ、僕たちは今日も、ちゃんと文章と向き合っていこう。
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