スピリチュアルは信じないけど、汗は信じる
「出雲大社で使われている“まこも”には浄化作用があって、それを蒸すことでデトックス効果があるのよ。そうするとね、出会いの質が上がるの」
ある日、スピ界隈の先輩がそんなことを言ってきた。正直、「出会いの質」というフレーズに若干の引っかかりを覚えた。要は“いい男”に巡り会える的な話なんだろうけど、蒸されるだけで人間関係のグレードアップが可能なら、日本中の婚活市場はとっくに蒸気で満たされているはずだ。でも、デトックスには興味がある。なんせ、最近やたらとむくむし、PMSも酷い。身体が重たいと、心もなんとなく停滞してしまうものだ。
「よもぎ蒸しの進化版みたいなもんだし、一回試してみなよ!」
そんな言葉に背中を押され、私は恵比寿の「黄土よもぎ蒸しサロンMushiya」へと足を運ぶことにした。
恵比寿で“蒸される”という贅沢
恵比寿といえば、おしゃれなカフェやセレクトショップがひしめく街。そんな中で「蒸されるためだけに訪れる」というのは、なかなか新鮮な体験だ。おしゃれして歩く人々の間をすり抜け、私は目的のサロンへ向かった。
サロンの扉を開けると、ふわっと温かい空気が身体を包み込む。受付で説明を受け、さっそく施術ルームへ。黄土で作られた専用の椅子に座り、マントのようなものをすっぽりとかぶる。下には熱々のまこもが蒸されていて、そこからじんわりと蒸気が立ち上る。座っているだけで身体の芯から温められる感覚。なんだこれ、想像以上に気持ちいい。
「最初はちょっと熱いかもしれませんが、だんだん慣れてきますよ」とスタッフさん。確かに、じわじわと汗が噴き出してくる。サウナと違って息苦しさがなく、ゆっくりと自分の身体に向き合える時間だ。
滝汗とともに流れ出す何か
10分もすると、汗が止まらない。顔、首、背中、足……全身からまるで滝のように汗が流れ落ちる。普段、汗をかきにくい体質の私にとって、これはちょっとした衝撃だった。「デトックスしてる感」がすごい。
しかも、この汗がいつものそれとは違う気がする。サウナでかく汗よりもさらっとしていて、肌にまとわりつかない。終わった後のスッキリ感が半端ない。むくみも取れて、顔色まで良くなった気がする。
「まこもには抗酸化作用やデトックス効果があって、腸内環境を整える働きもあるんです」とスタッフさん。なるほど、確かにお腹のあたりも軽い。PMS対策としても良さそうだ。
しかも、施術後にはコスメやコテなどのアメニティが充実していて、手ぶらで行ってもOK。汗をたっぷりかいてすっぴんになった後、しっかりメイクを整えられるのはありがたい。
蒸された後に見えたもの
まこも蒸しを終えてサロンを出ると、身体がすっかり軽くなっていた。頭の中もクリアになり、視界が明るく感じる。恵比寿の街を歩く足取りも、なんとなく軽やかだ。
この感覚、どこかで覚えがあるな……と思ったら、旅先の温泉に浸かった後のそれと似ている。じっくりと汗をかいて、余計なものを手放した後の開放感。まるで自分がリセットされたかのような感覚だ。
「出会いの質が上がる」と言われたけど、それが本当かどうかはまだわからない。でも、少なくとも自分のコンディションが整うことで、余裕を持って人と向き合える気がする。結局のところ、良い出会いも、良い関係も、自分の状態が良くないと引き寄せられないものなのかもしれない。
結論:とりあえず、蒸されてみるべし
「まこも蒸しってスピ系っぽいし、効果あるの?」と半信半疑だった私。でも、実際に体験してみて思った。理屈はともかく、めちゃくちゃ気持ちいい。サウナよりも手軽で、身体の芯から温まる感覚はクセになる。
美容や健康に良いのはもちろん、気分までスッキリするから、「なんとなく最近調子が悪いな」と感じる人にはぜひ試してみてほしい。肩の力を抜いて、自分を整える時間。忙しい毎日を送る中で、こういう“強制的にリラックスする時間”って、案外必要なんじゃないだろうか。
滝汗とともに、余計なものが流れ出た気がする。むくみや疲れだけじゃなく、モヤモヤした気持ちや、抱え込んでいたストレスまでも。これが“デトックス”ということなのかもしれない。
もしかしたら、本当に「出会いの質」も上がるかも? それはこれからのお楽しみ。
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