アメリカ・マイアミ出身の女性ヒップホップデュオ City Girls(シティ・ガールズ) は、
強烈な自信と遊び心を武器に、女性による“トラップ/クラブ・ラップ”を世界に広めた存在だ。
2017年のデビュー以降、クラブアンセム「Act Up」やCardi Bとのコラボ「Twerk」など数々のヒットを飛ばし、
ヒップホップシーンに新しい女性像を打ち出してきた。
ここでは、City Girlsのキャリアと人気曲、そして彼女たちが築いた文化的影響を徹底解説する。
1. プロフィールとキャリアの軌跡
City Girlsは、マイアミ出身の2人の女性ラッパー
Yung Miami(カリーシャ・ブラウンリー) と JT(ジャタヴィア・ジョンソン) によるデュオ。
出身地であるマイアミ北部のオパロッカとリバティ・シティの地名から“City Girls”と名付けられた。
2017年、インディペンデントでリリースしたデビュー曲 「Fk Dat N*a」 が地元で注目を集める。
その後、Quality Control Musicに所属し、
コンピレーションアルバム『Control the Streets Vol. 1』(2017年)への参加で一気に知名度を拡大。
翌年リリースのデビューアルバム 『Girl Code』(2018年) には、
Cardi Bとの共演曲「Twerk」や大ヒットした「Act Up」などが収録され、
全米女性ラップシーンの新たな旗手として地位を確立した。
その後も『City on Lock』(2020年)、『RAW』(2023年)と作品を発表し、
UsherやFivio Foreignなど多彩なアーティストとコラボレーションを展開している。
2. City Girlsの人気曲・代表曲
City Girlsの楽曲は、クラブで盛り上がるエネルギーと、
女性の主体性・自立をテーマにしたリリックが特徴的。
以下は特に人気の高い代表曲だ。
Act Up(2019)
City Girls最大のヒットにして、彼女たちを象徴する1曲。
挑発的でパワフルなリリックとキャッチーなフックがクラブシーンを席巻し、
Billboard Hot 100でも上位にチャートインした。
TikTokやInstagramなどSNSでも“Act Up Challenge”がバズを生み出し、
女性ラッパーのアンセムとして定着した。
Twerk (feat. Cardi B)(2018)
Cardi Bとの強力なコラボで、世界的な注目を集めた一曲。
大胆なビジュアルと圧倒的なダンスエネルギーで話題となり、
MVは1億回再生を突破。
女性による自己表現とセクシュアリティの肯定を象徴する作品として評価された。
Twerkulator(2021)
Afrika Bambaataaのクラシック「Planet Rock」をサンプリングしたダンスチューン。
TikTokでバイラルヒットとなり、世界中のユーザーがダンス動画を投稿。
クラブとSNSを繋ぐ“City Girls流バイラル戦略”の成功例となった。
Good Love (feat. Usher)(2022)
R&BスターUsherを迎えた、よりポップで洗練されたサウンド。
80年代ソウルの影響を感じさせるトラックに、City Girlsらしい軽快なラップが絡む。
彼女たちが単なる“パーティーラップ”ではなく、音楽的進化を遂げていることを示す1曲だ。
Top Notch (feat. Fivio Foreign)(2022)
ニューヨーク・ドリルの旗手Fivio Foreignとの共演で、
これまでの南部サウンドとは異なる攻撃的ビートを採用。
City Girlsが地域的枠を超え、全国区のアーティストとして進化していることを示すトラック。
Millionaire Dick
『RAW』収録曲の中でも最も話題になった楽曲。
強烈なリリックとユーモアを融合し、Pitchforkなど海外メディアからも高評価を得た。
彼女たちの“金銭・快楽・自立”というテーマを最も象徴する楽曲のひとつである。
3. サウンドとスタイルの特徴
City Girlsの音楽的特徴は、南部ヒップホップのルーツと女性的視点の融合にある。
- マイアミ・ベースとトラップの融合
重低音の効いたクラブサウンドに、リズミカルな掛け合いを乗せる。 - 女性のエンパワーメント
「金も愛も自由も、すべて自分で掴む」というテーマを一貫して主張。
ラップにおける“男性中心の成功モデル”を転覆させた。 - スラングとユーモア
彼女たちのリリックは生々しく、ストリート英語を多用。
辛辣でコミカルな表現が、同時代の女性ラッパーに大きな影響を与えている。
4. 海外での評価と影響力
City Girlsは、Nicki MinajやCardi Bに続く“女性主導のヒップホップ第二波”の中心的存在として、
メディアや批評家から注目を集めた。
- Pitchfork:「City Girlsは、男性支配的だったトラップを女性の遊び場に変えた」
- The Guardian:「彼女たちの音楽は、笑いと強さ、そして現実を同時に持つ」
- Billboard:「南部の街角から世界のフェスステージへ──City Girlsの上昇は止まらない」
彼女たちの影響は音楽だけでなく、ファッション・スラング・SNSカルチャーにも及び、
“City Girl Energy”という言葉がミームとして拡散された。
5. 近年の動向とソロ活動
2023年のアルバム『RAW』以降、2人はソロ活動へとシフト。
Yung Miamiはポッドキャストやブランド展開を手掛け、
JTはソロシングル「No Bars」でラッパーとしての個性をさらに深めた。
デュオとしての活動は減少しているが、
City Girlsが築いた“女性によるラップの自由と解放”という理念は、
現在のヒップホップシーンに確実に受け継がれている。
6. 初めて聴く人へのおすすめ3曲
- Act Up – City Girlsの代名詞。クラブアンセムの代表格。
- Twerk (feat. Cardi B) – エネルギッシュで開放的な代表作。
- Good Love (feat. Usher) – 音楽的成熟を感じさせる1曲。
7. まとめ|“City Girl Energy”が生んだ新しい女性像
City Girlsは、マイアミのローカルな空気を背負いながら、
女性が堂々と欲望・自信・成功を歌うスタイルを確立した。
彼女たちが発信した“City Girl Energy”は、
単なる流行ではなく、女性ラップシーンのカルチャーそのものを塗り替えたムーブメントだ。
2025年以降、ソロ活動が中心になっても、
City Girlsのスピリットは世界中の女性アーティストに受け継がれていくだろう。
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