2023年、世界を席巻したインド映画『RRR(アールアールアール)』。
“3時間すべてがクライマックス”とも言われるほど、観る者を圧倒するド派手アクションと熱い友情ドラマで話題となりました。
本記事では、『RRR』を100倍楽しむための見どころ・登場人物・背景知識を徹底解説します。
ネタバレなしなので、まだ観ていない方も安心してご覧ください。
『RRR』はどんな映画?概要と魅力

項目 | 内容 |
---|---|
タイトル | RRR(アールアールアール) |
公開年 | 2022年 |
制作国 | インド |
上映時間 | 173分 |
ジャンル | アクション/ドラマ/友情/歴史 |
監督 | S・S・ラージャマウリ(『バーフバリ』シリーズ) |
キャッチコピー(日本) | 「友情か?使命か?」 |
『RRR』は、植民地時代のインドを舞台に、異なる立場の2人の男が友情で結ばれ、運命に立ち向かう物語です。
あらすじ(ネタバレなし)
1920年代、イギリス統治下のインド。総督夫妻にさらわれた少女を救うために立ち上がる“ゴンド族の戦士・ビーム”。
一方、英国警察官として帝国に忠誠を誓う“ラーマ”。
正反対の立場にある2人が出会い、友情を育みながらも、それぞれの使命が交錯していく――。
タイトル「RRR」は、Rise(蜂起)・Roar(咆哮)・Revolt(反乱)の頭文字であり、物語の根幹となるテーマを象徴しています。
主要人物

ビーム
英国軍に捕らわれた村の少女を救い出す使命を背負った 自然の中で過ごしてきた “誇り高きゴンド族の戦士”
ラーマ
英国政府に忠誠を誓う 本に親しむ高い教育を受けた “内なる怒りを燃やす英国の警察官”
このように目的も育ってきた環境も違う二人が友情を深め、そして壮絶な戦いを起こしています。
予備知識

実際にいた人物をモチーフに
主人公である「ビーム」と「ラージュ」にはモデルになった人物がいます。
イギリス植民地時代にインドの独立運動の英雄として知られる実在する人物である、「コムラム・ビーム」と「アッルーリ・シータラーマ・ラージュ」です。
この2人が映画の中で描かれたように出会って、一緒にイギリス人に抵抗したという事実があったかどうかわかりませんが、監督の「もしその時期にこの2人が出会っていたら」という想像からできた物語になっています。
また、ストーリーのベースはヒンドゥー教の聖典である叙事詩「ラーマーヤナ」が重ね合わされています。
火と水
映画の中でも重要なモチーフにもなっている火と水。 この2人を象徴するこの要素は、対立する立場に置かれながら友情で結ばれる二人の関係性をシンプルに表現したものです。
火が強すぎると水はなくなってしまうし、逆に水が強ければ火は消えてしまうという、とても危険な組み合わせであることを意味しています。危険な組み合わせだからこそ、もし火と水が上手く融合すれば熱を帯びた“蒸気”となり、非常にパワフルな力になりうることも示唆しています。
ゴンド族
「ビーム」のモチーフになったコムラム・ビームは「ゴンド」という先住民の少数部族出身です。ゴンド族とはインド最大の原住民部族であり、インドのいくつかの州で政府による「指定部族」とされています。ゴンドの人たちは自然と共に生き自然についての知識が豊富といわれています。
侵略や搾取に対抗する感情を象徴する「Jal, Jangal, Zameen(水、森、大地)」というスローガンは、社会的・政治的な闘争のために使用されていて、劇中でもこのスローガンは出てきます。
また、発想力豊かな構図と、モチーフのなかに敷き詰められる細かく美しいパターン模様が特徴のゴンドアートが有名で、劇中に出てくる連れ去られたゴンドの少女には絵心があるという設定はこれが由来しています。
インドでは「Yes」の時、首を横に振る
日本や欧米では「Yes」のときに首を縦に振るのに対して、インドでは正面を向いたまま首を横に振ります。
これによって、インド人とイギリス人の間で認識の違いが生まれ、ちょっとしたすれ違いを生みます。
『RRR』の見どころ5選

① 世界を驚かせた“度肝を抜くアクション”
まるで漫画のように豪快で、圧倒的なスケール感。
10分に1度クライマックスが来るといわれる展開は、観る者を一瞬たりとも退屈させません。
② 火と水の対比が生む“美しき友情”
「火=ラーマ」「水=ビーム」という対照的なモチーフが物語を象徴。
相反する存在が出会い、混ざり合うことで“友情という熱”が生まれます。
③ 実在の英雄をモデルにした物語
登場人物のモデルは、実際に存在した独立運動家「コムラム・ビーム」と「アッルーリ・シータラーマ・ラージュ」。
監督S・S・ラージャマウリが「もしこの2人が出会っていたら」という仮想設定から誕生しました。
④ 芸術的な“ゴンド族文化”の描写
自然と共に生きる先住民族・ゴンド族。劇中に登場する美しい模様や少女の絵心など、ゴンドアートの文化背景が随所にちりばめられています。
⑤ 音楽・ダンスも超一級!
アカデミー賞歌曲賞を受賞した主題歌「Naatu Naatu」は必聴!
さらにエンドロールでは、監督自身もダンスに参加するなど、最後の1秒までエンタメ全開です。
登場人物とキャスト

ビーム(N.T.ラーマ・ラオ Jr.)
ゴンド族の戦士。少女を救うため命を懸ける誇り高き英雄。
→ 映画界屈指のダンサーでもあり、「Jr. NTR」としても知られる。
おすすめ出演作:
- 『バードシャー テルグの皇帝』
- 『ヤマドンガ』
ラーマ(ラーム・チャラン)
英国政府の警察官。知的で正義感が強く、内に激しい怒りを秘める男。
→ 南インド映画界の大スター、チランジーヴィの息子としても有名。
おすすめ出演作:
- 『マガディーラ 勇者転生』
- 『RRR』
監督:S・S・ラージャマウリ
『バーフバリ』シリーズで世界的成功を収めたインド映画界の巨匠。
壮大な物語と映像美、感情を爆発させる演出力が持ち味。
代表作:
- 『バーフバリ 伝説誕生』
- 『マッキー』
制作の裏側エピソード
- 撮影はコロナ禍で2度中断。
主演2人は3年間も体型維持を続けたというプロ意識! - タイトル『RRR』の由来
監督(Rajamouli)と主演2人(Ram Charan・Rama Rao)の頭文字“R”から仮タイトルとして付けられたが、ファンの支持を受けて正式タイトルに。
『RRR』好きにおすすめのインド映画

- 『バーフバリ 伝説誕生』
ラージャマウリ監督の代表作。神話級のスケールで描かれる愛と復讐の物語。 - 『マッキー』
主人公がハエに転生して復讐するという奇想天外な設定。
アクション×ユーモアの融合が秀逸。
まとめ:『RRR』は全身で“熱”を浴びる映画!

『RRR』は、アクション・友情・音楽・ドラマ、すべてが規格外。
観終わった後には、まるで魂が燃えるような“爽快感”が残ります。
こちらもおすすめ