『良いこと悪いこと』の予告タイトルを振り返ると、
回を追うごとに“語り手の視点”が変化しているように見えます。
それを「イマクニの関与」という軸で整理すると、
予告タイトルそのものが、物語の裏側を語っていた可能性が浮かび上がります。
1話「冒頭1分1人死ぬ」
第1話の時点では、イマクニはまだ事件に関わっていなかったと考えられます。
そのためタイトルも感情を排した、事実のみを伝える完全な第三者目線です。
ここはまだ、宇都見の単独犯行フェーズ。
「だーれだ?」という煽り口調も存在していません。
2話「次の犠牲者、だーれだ?」
第2話で、初めてタイトルに“口調”が生まれます。
この頃からイマクニは事件の存在を知り、協力し始めたのではないでしょうか。
「次の犠牲者」という言葉には、
偶然ではなく“選ばれる存在”というニュアンスがあります。
イマクニにとって、この復讐劇はどこか「遊びに参加する感覚」だった可能性もあります。
3話「真犯人は、親友ー!?」
この回では、東雲がターボーを殺すためにガラスを落とそうとするも失敗します。
また、イマクニと東雲はタクト学園の同級生であり、親友同士です。
タイトルの「親友」という言葉は、
東雲を指しているとも、
店の常連である宇都見を指しているとも取れる、非常に意味深な表現です。
ここで初めて、「誰が本当の犯人なのか」という視点が強く示唆されます。
4話「3つ目の死体、だーれだ?」
この時点では、イマクニはすでに事件に“参加している側”だと考えられます。
タイトルの口調も完全に煽り寄りで、
もはや部外者の視点ではありません。
積極的に関与し、次に起きることを把握している立場にいるように見えます。
5話「黒幕、だーれだ?」
ここでついに「黒幕」という言葉が使われます。
これは単なるミスリードではなく、
イマクニ自身が黒幕である可能性を示す伏線とも受け取れます。
6話「4つ目の死体は誰?」
この回だけ、言い回しのテンションがやや異なります。
「だーれだ?」ではなく、「誰?」。
これは、イマクニにとっても予想外の展開だった可能性を示しています。
実際、この回のターゲットである大谷校長は、宇都見に電話をし、罪の加担から抜けたい意思を示していました。
つまり、この出来事はイマクニの計画外だったとしても不自然ではありません。
7話「あーあ 死んじゃった」
このタイトルからは、「予定外だが、起きてしまった」という温度感が伝わってきます。
計画されていなかったにもかかわらず、突発的に命が奪われてしまった。
この回の被害者は、ちょんまげでした。
残念がるようで、どこか他人事。
完全に“見物する側”の言葉です。
8話「7人目、だーれだ?」
物語上では、7人目の友達である森くんの存在が明らかになる回です。
しかしタイトルは、「誰が7人目なのか」を当て物のように扱っています。
イマクニは知らなかった7人目の友達を
9話「犯人だーれだ?」
第9話で、宇都見が犯人であることが明らかになります。
しかし、それでもタイトルは「だーれだ?」。
これは、実行犯が分かっても、まだ終わりではないという視点の表れだと考えられます。
10話「真犯人だーれだ?」
そして最終話。
3話以来2回目の「真犯人」という言葉が、改めて使われました。
もし予告タイトルがイマクニ目線だとすれば、
この言葉を発している本人が、最終話で表に出てくる可能性も十分に考えられます。
「だーれだ?」は誰の言葉なのか
これらの予告タイトルに共通するのは、
恐怖よりも娯楽性を感じさせるテンションです。
これは被害者側の言葉でも、捜査側の言葉でもありません。
この軽い煽り口調。
どこかで聞いたことがある。
――そう、イマクニの話し方です。

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