金曜深夜の癒やしドラマ『探偵さん、リュック開いてますよ』の第2話が放送されました。今回は「サステナブルボーイmeets地底人」。なんだそりゃ、と思わずツッコミたくなるタイトルです。第1話では松茸泥棒集団(BMMOH)という斜め上の敵が登場しましたが、今回はまさかの「地底人探し」。このドラマは本当に予想もできないテーマを投げてくるので、見ているこちらは良い意味で翻弄されっぱなしです。
しかし、ただ奇抜なだけではありません。今回は「達観した子供」と「馬鹿な大人」という対比構造の中で、現代社会が抱える問題や、人の心のあり方をシュールかつ温かく描いていました。
意識高い系小学生vsダメな大人たち
第2話で印象的だったのは、田上精肉店の息子である小学生・田上たいよう(宇陽大輝)と、周囲の大人たちの対比です。たいよう君はいわゆる「意識高い系」で、サステナブルな未来に真剣に目を向けています。最近の子供たちは学校の授業でSDGsを習うため、どこか大人びている部分がありますが、彼はその典型。無責任な大人たちに対し「未来への責任をなすりつけるな」と憤る姿は、正論すぎて耳が痛くなるほどでした。
そんな彼が探偵・一ノ瀬洋輔(松田龍平)に依頼したのは「地底人を探してほしい」というものでした。なぜなら、サステナブルな社会の実現には地底人の力が必要だから。この突拍子もない理論に対し、一ノ瀬が「地底人はいない」と言い切る一方で、「宇宙人はいる」と真顔で主張するシーンは最高でした。大人びた子供と、子供っぽい大人。この噛み合わない対比が生むシュールな笑いが、このドラマの真骨頂です。
地底人は本当にいないのか?
ここで少しドラマの本筋から逸れますが、「地底人はいるのか?」という問いについて考えてみます。ドラマ内で一ノ瀬は否定していましたが、個人的には「いてくれた方が面白い」と思います。深海や宇宙と同じくらい、我々の足元にある地底の世界は未知の領域です。もしそこに高度な文明や、私たちとは違う生態系があったとしたら……そんなロマンを信じる心こそが、日々の生活にちょっとしたワクワクを与えてくれるスパイスになるのではないでしょうか。たいよう君が地底人の存在を信じたのも、単なる現実逃避ではなく、閉塞感のある現実を打開したいという純粋な希望だったのかもしれません。
ネット社会の闇と「陰謀論」への入り口
物語が進むにつれ、たいよう君がなぜ地底人を信じ込むようになったのか、その経緯が明らかになります。ある日、店番をしている彼の元に見知らぬ男性が現れ、「肉食が地球に負担をかけている」と吹き込み、ある人物を紹介したのです。それをきっかけに、彼は学校に行かずストライキを起こし、YouTubeなどで情報を貪るようになりました。
インターネットやYouTubeで偏った知識を得て、極論や陰謀論にハマってしまう。これは笑い事ではなく、現代社会で実際に起きている問題です。純粋だからこそ情報を鵜呑みにしてしまう子供の危うさと、それを「いたずら」として消費する大人の無責任さが描かれていました。実はその男性は探偵の友人で、小学生をからかうために適当な嘘をついただけだったのです。「ここが繋がるのか!」という驚きとともに、ネット情報の危うさをチクリと刺す脚本の巧みさを感じました。
発明品「勇気を取り出す機械」とプラシーボ効果
事の真相を知った一ノ瀬は、その友人(嘘を吹き込んだ人物)を連れてきてたいよう君に謝罪させます。そして、落ち込むたいよう君のために取り出した発明品が「勇気を取り出す機械」でした。その友人が持っている勇気を抽出し、瓶に詰めるというこの機械。
その後、たいよう君は店を自分に任せてどこかへ行こうとする父親の背中を見て、瓶に入った“勇気”を一気に飲み干します。そして父親の元へ走り出し、「働け! ちゃんと働け!」と本音をぶつけました。その言葉を受け止め、父親がたいよう君を抱きしめるシーンは、シュールな展開の中にある確かな愛を感じさせ、胸が熱くなりました。
ラストシーン、一ノ瀬と助手の清水、室町がぶどうジュースで乾杯します。そう、あの“勇気”の中身はただのぶどうジュースだったのです。「いやあ、信じたな」「やっぱ子どもの想像力って侮れないんだね」と笑い合う3人。
ここには「プラシーボ効果(偽薬効果)」、つまり「思い込みの力」が描かれています。人は「これは勇気だ」と信じ込むことで、本当に普段以上の力を発揮できることがあります。魔法のような発明品に見えて、実は人の心を後押しするだけの装置。けれど、それこそが人間にとって最も必要な「発明」なのかもしれません。
まとめ:金曜の夜は「信じる力」で癒やされよう
第2話も、予想の斜め上を行く展開でありながら、最後はほっこりとした気持ちにさせてくれました。子供の純粋さと大人のズルさ、そして「思い込み」が生む奇跡。何も考えずに見ているようで、見終わった後には少しだけ前向きになれる。やはりこの物語は、金曜日の夜にちょうどいい、極上のサプリメントのようなドラマです。
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