運は作れる！

「自分は運がいい」と思い込んでいる人は、実際に幸運を引き寄せるという話を聞いたことはありますか？心理学者リチャード・ワイズマンの実験によって、これは単なる迷信ではないことが明らかになっています。彼の研究は、運が良いと感じる人々が、現実においても良いチャンスや幸運を見逃さずに捉え、逆に運が悪いと感じる人々はそのチャンスを見落としてしまうという驚くべき結果を示しています。本記事では、その実験内容と、私たちがどのようにして「幸運を作り出す」ことができるのかを探っていきます。

運がいい人と悪い人の違いは“思い込み”にあった？

運がいい人と悪い人は、何が違うのでしょうか。多くの人は「運は偶然の産物」と考えがちですが、心理学者リチャード・ワイズマンの研究によって、運の良し悪しには“思い込み”が深く関わっていることが示されています。

彼が行った実験では、運が良いと感じている人と、運が悪いと感じている人に新聞を渡し、写真が何枚掲載されているかを数えさせました。この簡単な作業で何がわかるのか不思議に思うかもしれませんが、結果は非常に興味深いものでした。運が良いと感じている人は、10秒程度で正解にたどり着くのに対し、運が悪いと感じている人は平均して2分以上かかるという結果が出たのです。この大きな差は、ただの偶然ではありませんでした。

新聞に隠された“幸運のメッセージ”を見逃すかどうかがカギ

この実験の鍵となるポイントは、実は新聞そのものにありました。リチャード・ワイズマンは、単に写真を数えるだけの新聞を作ったわけではありません。新聞の中には、「このメッセージを見つけたら、写真の枚数は数えなくていい」「おめでとう！このメッセージを試験官に見せると250ドルもらえる」というような幸運のメッセージがあちこちに隠されていたのです。

運が良いと感じている人は、これらのメッセージにすぐに気づき、素早く実験を終わらせることができました。一方で、運が悪いと感じている人は、これらのメッセージを見逃してしまい、ひたすら写真の数を数えることに集中してしまいました。

この違いが示すのは、「運が良い」と感じている人たちは、無意識のうちに幸運を引き寄せる力を持っているということです。逆に、運が悪いと思い込んでいる人は、そうしたチャンスや幸運の兆候を見逃してしまうのです。

思い込みが現実を変える「自己成就予言」の力

この実験が示すのは、私たちの「思い込み」がいかに現実に影響を与えるかということです。心理学では「自己成就予言」と呼ばれる現象があり、これは「自分はこうだ」と信じ込むことで、その信念が現実になっていくという理論です。ワイズマンの実験では、運が良いと感じている人が、良い情報を積極的に探し当て、幸運を自ら引き寄せていることがわかりました。

この「自己成就予言」の力は、プラシーボ効果と同じように働きます。例えば、薬効成分が含まれていないただのでんぷんを「薬だ」と思い込んで飲むことで、本当に症状が改善するというプラシーボ効果は有名です。つまり、思い込みが強ければ強いほど、それが現実となって現れる可能性が高いのです。

運が良いと思う人は、意識的にも無意識的にも良い情報やチャンスに敏感になり、それを活用するための行動を自然と取るようになります。その結果、彼らは本当に幸運を手に入れていくのです。逆に、運が悪いと思い込んでいる人は、良い情報やチャンスに気づかず、結果として不運な出来事が続くという悪循環に陥ることが多いのです。