アメリカ・ニューヨークのブロンクス出身ラッパー A Boogie wit da Hoodie（エイ・ブギー・ウィズ・ダ・フーディー） は、
ヒップホップとR&Bを自由に行き来する“メロディック・ラップ”の代表的存在だ。
Auto-Tuneを駆使した美しい旋律、ストリートの現実を描いたリリック、
そして独自の「感情を歌うラップ」で、世界中のファンを魅了している。
この記事では、A Boogieの経歴から人気曲、音楽性、そして2025年の最新動向までを詳しく紹介する。
1. プロフィールと経歴
- 本名：Artist Julius Dubose
- 生年月日：1995年12月6日
- 出身地：アメリカ・ニューヨーク州ブロンクス（Highbridge地区）
- 所属レーベル：Highbridge the Label／Atlantic Records
- 活動開始：2015年
「A Boogie wit da Hoodie」という名は、映画『Paid in Full』のキャラクター “Ace Boogie” に由来し、
本人が常にフーディーを着ていたことから生まれた。
高校時代に音楽制作を始め、2016年にミックステープ『Artist』をリリース。
リード曲「My Shit」がスマッシュヒットし、デビュー直後から注目を浴びる。
その後、アルバム『The Bigger Artist』（2017）でメジャー進出。
続く『Hoodie SZN』（2018）はBillboard 200で1位を獲得し、
A Boogieは“ニューヨークの新しい声”として確固たる地位を築いた。
2. 人気曲・代表作
My Shit（2016）
A Boogieの名を全米に広めたブレイクスルー曲。
初期作品『Artist』に収録されており、Trapサウンドの上に彼独特のメロディックなフロウが乗る。
リリックはシンプルながら、
「自分の人生、自分のやり方で生きる」という強い自己表現が込められている。
“This is my shit, everything I drop is hot.”
この曲が示すように、A Boogieは“ストリートと感情の間に立つアーティスト”として台頭した。
Drowning（feat. Kodak Black）（2017）
彼の代表作にして最も世界的に知られるヒット曲。
ピアノループとAuto-Tuneボーカルが融合し、哀しげで美しいトラックに仕上がっている。
歌詞は「成功」と「孤独」の狭間で揺れる心を描き、
“I’m drowning, I’m drowning, I’m drowning...”
というフレーズが象徴するように、名声の中で沈みゆく自分を表現している。
この楽曲はBillboard Hot 100で最高38位にランクインし、
A Boogieを“感情派トラップ”の代表格に押し上げた。
Look Back at It（2018）
アルバム『Hoodie SZN』収録曲で、マイケル・ジャクソンの「You Rock My World」と「Remember the Time」をサンプリングした楽曲。
ダンサブルなトラックに乗せて、恋愛をテーマにした軽快なラブソングを展開。
彼の“歌心”を最も感じられる楽曲のひとつであり、
Spotifyで4億回以上再生されている代表作だ。
Bleed（2020）
アルバム『Artist 2.0』に収録されたダークでエモーショナルな1曲。
愛と裏切り、信頼と不安といった内面の痛みをテーマにしている。
“You say you love me but I can’t feel it.”
というリリックが示すように、
感情の深さと虚無感をメロディで包み込むA Boogieらしい作品。
Pop Smokeに提供する予定だったという逸話もあり、
彼の音楽的多面性を示すトラックとなっている。
Steppas（2024）
2024年リリースのアルバム『Better Off Alone』の先行シングル。
ホーンが鳴り響く壮大なトラップビートの上で、A Boogieが“自分の道を突き進む”姿勢を描く。
従来のメロウな楽曲とは対照的に、
強い意志と決意を表現した攻撃的なフロウが印象的だ。
この曲で彼は「成熟したリーダー」としての側面を見せた。
3. 音楽性と特徴
① メロディック・ラップの先駆者
A BoogieはラップとR&Bの融合を早くから試みたアーティストのひとり。
その後のRod WaveやLil Tjayなどの若手に大きな影響を与えた。
② リリックの感情表現
彼の歌詞は、恋愛・孤独・友情・ストリートの葛藤といった“人間のリアル”をテーマにしている。
攻撃的なラップよりも、心の揺れを正直に描くことで共感を得ている。
③ ブロンクスのストリート精神
A Boogieの音楽には常に「Highbridge」という地元への誇りが存在する。
“King of My City”という曲名の通り、地域とのつながりを大切にし続けている。
4. 最新動向（2025年）
- 最新アルバム『Better Off Alone』（2024）
孤独・自立・愛をテーマにした作品で、これまで以上に成熟したリリックとサウンドを展開。 - グローバルツアー開催
2024〜2025年にかけてヨーロッパと北米でワールドツアーを実施。
各地でソールドアウトを記録している。 - 新世代ラッパーとのコラボ強化
Roddy Ricch、Lil Durk、Central Ceeなどとの共演で、
ジャンルを超えたプロジェクトも進行中。
5. まとめ｜A Boogie wit da Hoodieが描く“感情のヒップホップ”
A Boogie wit da Hoodieは、
トラップ時代の中で“メロディと感情”を武器にシーンを切り開いた存在だ。
彼の楽曲は、ストリートの現実と心の痛みをポップに昇華し、
ラップとR&Bの境界を曖昧にしながら、新たな世代の感性を代表している。
2025年、彼はもはや“ブロンクスの若手”ではなく、
ヒップホップの中核を担うメインストリーム・アーティストとして君臨している。
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