「年を取ると学びが難しくなる」は本当?
「学ぶのが難しくなる」という先入観
「年を取ると新しいことが学びにくくなる」という話を耳にすることがあります。しかしこれは「年を取ると新しいことが学びにくくなる」ではなく「もともと若いころから学ぶことを避けてきた人たちが、老いてから言い訳しているだけ」ということがわかっています。年齢によって学びが難しくなるのではなく、自分の心構えが原因かもしれません。本当に必要なのは「学び続けるための準備」かもしれないと感じます。今回は、老後に向けて学びの姿勢をどう整えるべきか考えてみます。
高齢者の2割には病気がないことを知っていますか?
今から備えればまだ間に合うかもしれません。
日本人の平均寿命は男性が81歳、女性は86歳。
でも、元気に自立した生活を送ることができる期間である「健康寿命」は、男性なら約72歳、女性なら約75歳と報告されています。
日本人は最後の約10年を、支援や介護を受けて生きているのです。
学びの障壁:年齢か?それとも意識か?
よく「脳は成長期に活発で、歳を取ると学びにくくなる」と言われます。確かに、20代までに比べると、脳の処理速度や記憶力が低下することは科学的にも証明されています。しかし、これは「学べない」ということではありません。例えば、最新の研究でも、大人は効率的に情報を取捨選択する能力が高いとされています(参考:エンゲルハート他, 2021)。つまり、年齢とともに「どう学ぶか」を工夫することで、より深い学びが可能になるのです。
学びを続けるための心構え:好奇心を育む
新しいことを学ぶために最も重要なことは「好奇心」です。好奇心は、歳を取るごとに失われがちですが、意識的に保つことも可能です。心理学者アンジェラ・ダックワースの研究によると、「好奇心は若いころに培われたものだけではなく、意識的に再構築できる」と言われています。たとえば、普段の生活に小さな変化を取り入れ、好奇心を再燃させることもできます。いつもと違う道を歩いてみたり、新しい趣味に挑戦したりするだけでも、好奇心を呼び覚ます手助けになるでしょう。
学びの場を広げる:デジタルツールを活用する
今はオンラインで多くの学びの機会が提供されています。インターネットさえあれば、世界中の知識やスキルにアクセスできる時代です。特にYouTubeやオンラインコースなどは、年齢に関係なく学びを深めるための貴重なツールです。こうしたデジタルツールの活用は、「学びが難しい」という思い込みを打破し、自分のペースで成長し続ける助けになります。
また、デジタルリテラシーを高めることも老後に向けた「学びの準備」のひとつです。スマホやパソコンを使いこなせるようになると、学びの幅が大きく広がります。これらは単なる道具ではなく、**「学びの伴走者」**となる存在です。
「学びを拒否する若さ、後悔する老後」にならないために
若いころに「自分には無理だ」と決めつけ、学びを拒否してしまう人も少なくありません。こうした人は、年を重ねたときに新しいことを学ぶことに対して消極的になる傾向があります。しかし、学びの拒否は年齢ではなく、その人の意識が作り出すものです。
心理学者のアリソン・コールマンによると、「学ぶ意欲を持ち続けることで、年齢に関係なく自分を成長させ続けることができる」と述べています。この考え方は、若いころから学びの機会を楽しむ姿勢を育む重要性を示しています。「学ぶ準備」を今から始めることで、老後に後悔することが少なくなるでしょう。
学びを楽しむ準備:自己投資と好奇心の継続
「学びを楽しむ準備」は老後のためだけでなく、現在の自分にも役立ちます。自己投資の一環として、興味のある分野の本を読む、勉強会やセミナーに参加するなど、少しでも学びの場を持つことが大切です。新しい知識やスキルを身に付けることで、自信がつき、成長を実感できるようになります。そして、こうした習慣は、**年齢を重ねたときに必ず役立つ「学び続ける姿勢」**となるでしょう。
学びの喜びを知ると人生が豊かになる
学び続けることで、人生は確実に豊かになります。特に老後、学びのある生活を送ることは、日々の充実感を大きく高めることがわかっています。脳科学者のジョン・ハワードも、「知識を吸収し続けることで、脳は若さを保つ」と述べています。年齢に関係なく、新しいことに触れ、学び続けることで、心と体の健康が保たれるのです。
まとめ:年齢を理由にしない、学びを楽しむ老後を目指して
「年を取ると学びが難しくなる」という言い訳を超えて、いくつになっても学び続けられることを楽しむためには、今から準備が必要です。貯金ももちろん大切ですが、それ以上に「学びを楽しむ力」を養うことが、老後を豊かにする最大の秘訣です。学びに年齢制限はありません。いまから好奇心を持ち、積極的に新しいことに挑戦し続けることで、未来の自分を支える「学びの準備」が整います。
今こそ、年齢を重ねることへの不安を超えて、「何歳になっても学びが楽しい」と感じられる日々を目指していきましょう。
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